貸借対照表の構造:資産
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2023-10-31), 10-K (報告日: 2022-10-31), 10-K (報告日: 2021-10-31), 10-K (報告日: 2020-10-31), 10-K (報告日: 2019-10-31), 10-K (報告日: 2018-10-31).
- 全体的な資産構成の傾向について
- 総資産に占める流動資産の割合は、2018年から2023年まで比較的安定しており、わずかに増減を繰り返しながらもおおむね30%台で推移している。この範囲内で、特に2022年において35.9%に上昇したことは、資産運用において短期的な流動性重視の傾向が一時的に強まった可能性を示唆している。一方で、有形固定資産の割合は、年度を追うごとにやや減少したが、2023年には10.48%に回復している。これにより、固定資産の比重は概ね維持されているものの、資産の流動性と固定性の間でバランス調整が行われていると考えられる。
- 流動資産の詳細構成について
- 流動資産の構成を見ると、現金および現金同等物の割合は2018年の8.79%から2023年の7.47%へやや減少している。また、売掛金の割合は一貫して高い水準を保ち、2020年以降は6.9%以上で推移し続けている。在庫の割合は2021年以降、増加傾向を示し、2022年に最大の9.03%に達したが、その後やや縮小している。その他の流動資産も、2022年に6.23%とピークを迎えた後、2023年にはやや縮減している。これらの動きから、短期資産の内訳において在庫の比重増加が一時的に見られたことが分かる。
- 固定資産と無形資産について
- 有形固定資産の割合は、2018年の11.06%から2023年の10.48%にかけてやや減少したが、2023年度には回復傾向も見られる。一方、無形固定資産の割合は2020年に2.04%に達した後、2023年には1.14%と減少しており、資産構成内での比重は縮小している。これにより、企業は固定資産と無形資産のバランスを調整しながら、資産の効率的な運用を模索しているものと推測される。特に無形資産の減少は、取得または認識の見直しによるものと考えられる。
- 長期資産とその他の資産の動向について
- 長期金融債権およびその他の資産の割合は、2018年の20.47%から2023年の19.91%へとやや減少しており、長期投資や金融資産の比重はおおむね一定の範囲内に収まっていることが示唆される。持分への投資は比較的安定しており、3.78%から4.35%の範囲で推移。好意の割合は2020年以降やや縮小した後、2023年には31.47%に回復しており、投資および株主資本への関与の比重は維持されている。これらの動きから、長期的な資産運用戦略の一環として多角化が行われていることが推察される。
- その他のポイント
- 繰延税金資産の割合は2020年のピーク3.29%から2023年には3.96%へと増加しており、税務戦略や将来の税負担軽減を狙った資産の蓄積を示している可能性がある。また、前払い年金の割合は2021年から2023年にかけて2.3%付近で推移し、長期的な負債・負担の調整を反映していると考えられる。全体として、資産の構成は比較的安定している一方で、一部において資産の流動性や固定性のバランス調整が見られることが特徴的である。