損益計算書の構造
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2019-12-31), 10-K (報告日: 2018-12-31), 10-K (報告日: 2017-12-31), 10-K (報告日: 2016-12-31), 10-K (報告日: 2015-12-31).
- 売上高に占める割合の売上総利益率の推移について
- 2015年から2017年にかけて、売上総利益率は22.43%、21.84%、19.32%と緩やかに低下していたが、2018年に24.01%へ回復し、その後2019年には34.66%と大きく改善している。これは売上原価の割合が65.34%から75.99%へ上下動する中、総利益率の回復と拡大を示していると解釈できる。
- 営業利益と税引後利益の推移
- 営業利益率は2015年の11.36%から2017年には0.87%まで低下し、その後2018年に6.29%、2019年にはわずかにマイナスの-0.2%を記録している。税引後利益は、特に2015年の15.96%から2017年には2.67%に減少し、その後2018年に4.66%、2019年には-2.85%と、2019年には純利益の減少とともに赤字に転じていることがわかる。これらの推移は、収益性が経年的に圧迫され、その後一部回復を見せるも、2019年には再び悪化していることを示唆している。
- 研究開発費と販売費・一般管理費の動向について
- 研究開発費は売上高に対して約3%の割合を維持し、2019年には4.44%にやや増加している。一方、販売費及び一般管理費は2015年の6.09%から2019年には12.38%と倍増しており、運営コストの増加傾向が見られる。これらのコスト増加が利益の圧迫要因として寄与している可能性がある。
- 無形資産償却とリストラクチャリング費用の変動
- 無形資産の償却費用は売上高に占める割合が2015年の0.86%から2019年の4.88%に増加しており、資産の償却負担が拡大していることを示している。リストラクチャリングや資産関連費用も並行して増加し、2019年には全体のコスト圧縮や事業再構築に一定のコストが投じられていることが推察できる。
- のれんの減損と統合・分離コストの影響
- のれんの減損費用は2017年に2.39%、2019年には5.46%と、特に後者で増加傾向にある。また、統合と分離のコストも2017年から増加し、2019年には6.24%に達している。これらのコストは、企業のM&Aや組織再編に伴う費用負担の増加を反映していると考えられる。
- その他の収益・費用項目の動向
- リストラクチャリング関連費用やアスベスト関連料金、のれんの減損を含め、非経常的なコスト要素が2018年以降一時的に増加していることが確認できる。これらは、事業再編や法的リスク対応に伴うコスト負担の増加を示唆している。
- 純利益の総括的なトレンド
- 売上高に対する純利益(デュポンに帰属)は2015年の15.06%から2019年には2.31%へと大きく減少しており、収益性の低下傾向が顕著である。また、非支配持分に帰属する純利益も負の値を取り、企業全体の収益の圧迫要因となっている。これは全体的なコスト増加と収益性の悪化が反映されているといえる。