貸借対照表の構造:負債と株主資本
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2025-03-31), 10-K (報告日: 2024-03-31), 10-K (報告日: 2023-03-31), 10-K (報告日: 2022-03-31), 10-K (報告日: 2021-03-31), 10-K (報告日: 2020-03-31).
- 全体的な負債と株主資本の割合の推移
- 2020年から2023年まで、負債と株主資本の合計比率はほぼ一定であり、売上高を基準とした負債と株主資本の割合は安定傾向にある。一方で、2024年以降は、総負債比率と株主資本比率の変動が見られ、特に株主資本比率は年々減少し、2025年には約23%に低下している。
- 負債構造の変化
- 流動負債の割合は2020年から2023年までに比較的安定して推移した後、2024年に大きく減少し(19.7%)、2025年には再び増加に転じている。特に短期借入金は2024年に飛躍的に増加し(8.49→12.51%)、その後も高水準を維持していることから、短期資金調達の比重が増していることが示唆される。一方、長期負債は2024年以降一定の増加を示しており、資金調達の長期化を図っている可能性がある。
- 負債の内訳と変動
- 買掛金と未払費用は比較的堅調に推移しているが、ソフトウェア開発ロイヤリティやライセンスなどの知財関連負債は2020年から2023年にかけて大きく縮小し、2024年以降は再び増加に転じている。繰延支払いに関しては、2021年の大幅な増加とその後の縮小を示しており、資金調達または支払い条件の見直しの影響と考えられる。
- その他の負債項目の動向
- 未納税額や売上税負債、支払利息などの税務関連負債は2024年以降に増加しており、税務負債が一定の負担を併せて示している。一方、繰延税金負債は比較的低水準ながら2020年から増加傾向にあり、税効果の見直しや税負担の変動を反映している可能性がある。
- 純資産の変化と財務健全性
- 利益剰余金は2020年から2022年までは増加を示したものの、2023年には著しく減少し、2024年と2025年にはマイナスに転じている。これに伴い、株主資本比率も著しく低下しており、財務の健全性に悪影響を及ぼしていることが推測される。追加資本金の増加は、資本調達の一環として実施された可能性が示されている。
- 総括
- 総じて、負債比率は2024年以降に増加傾向を示し、特に短期負債の増加が顕著である。これにより、資金調達の短期化と負債依存度の高まりが見て取れる。一方、株主資本は縮小の一途を辿り、利益剰余金の赤字化も加わり、財務基盤の弱体化が懸念される。これらの動向は、今後の財務戦略及び資本政策の見直しを必要とする可能性を示唆している。