貸借対照表の構造:資産
Eli Lilly & Co.、連結貸借対照表の構成:資産
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2024-12-31), 10-K (報告日: 2023-12-31), 10-K (報告日: 2022-12-31), 10-K (報告日: 2021-12-31), 10-K (報告日: 2020-12-31).
- 流動資産の構成
- 2020年から2024年にかけて、流動資産の割合は全体として増加傾向にあり、2024年には41.59％となっている。現金および現金同等物の割合はやや減少したものの、短期投資は増加し、流動性の高い資産の比重が維持または増加していることが示されている。売掛金の割合も比較的堅調に推移しており、運転資金の管理が安定していると考えられる。前払い費用の割合は2022年以降急増し、2024年には10.6％に達しており、前払金や支出の先行計上に関する新たな傾向が現れている。その他の流動資産は大きく変動し、2022年以降は低水準で推移している。全体として、流動資産の比重は上昇しており、短期的な資金繰りに対する重視が進んでいることが示唆される。
- 固定資産の推移
- 固定資産全体の割合は、2020年の62.55％から2024年には58.41％に低下している。その中で有形固定資産は2020年の18.62％から2024年には21.73％へ増加しており、設備投資や固定資産の積み増しが行われている可能性が高い。一方、無形資産のネット額は大きく減少し、2020年の15.98％から2024年の7.83％に縮小している。特に、その他の無形資産が大きく縮小していることから、特許権や商標権などの知的財産の減少や償却が進んでいる可能性が考えられる。繰延税金資産については増加傾向にあり、2024年には10.16％に達していることから、税務上の優遇措置や将来的な税負担の軽減を期待した資産の積み増しが行われていると思われる。総じて、会社は有形固定資産への依存を深めつつ、無形資産の資産価値の縮小や再評価も進めている状況が読み取れる。
- 資産の組成の変化とリスク
- 総資産に対して流動資産の比重は上昇しており、流動性の確保や短期資金の確保を重視している一方で、有形固定資産の比重は比較的安定しているものの、無形資産の比重は明らかに縮小している。現金や短期投資の増加は、市場の変動や投資活動に積極的な姿勢を示す一方で、無形資産の価値縮小は、知的財産の償却や資産評価の見直しを反映している可能性がある。前払い費用の急増は、将来のコストや支出の前倒しを示しており、資金管理方針の変化や事業計画の調整を示唆している。全体として、資産の構成は流動性重視の方向にシフトしつつ、一部の資産価値の縮小やリスクの平準化が進んでいることが読み取れる。