貸借対照表の構造:負債と株主資本
Walmart Inc.、連結貸借対照表の構成:負債と株主資本
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2025-01-31), 10-K (報告日: 2024-01-31), 10-K (報告日: 2023-01-31), 10-K (報告日: 2022-01-31), 10-K (報告日: 2021-01-31), 10-K (報告日: 2020-01-31).
- 負債構成の変化と傾向
- 短期借入金は2020年から2021年にかけて大幅に減少した後、その後の期間において急激に増加し、2025年には負債総額に占める割合が最も高い1.18に達している。一方、流動負債は全期間を通じて高比率を維持し、2023年から2025年にかけて若干の増減を見せながらも、約36〜38%の範囲で推移している。長期負債は全期間で比較的安定しつつも、全体として徐々に減少傾向にある。特に、長期借入金の割合は全体として低下しており、2025年には1%に近づいている。これらの動向は、短期資金ニーズの増加や長期負債の縮小、資本コストや財務戦略の見直しを示唆している。
- 資本の変動と構成
- 株主資本は2020年の34.48%から2025年には37.35%へ上昇しており、資本構成の安定と強化が示唆されている。また、剰余金は安定して増加しており、株主にとっての価値創造が継続していることを示している。普通株式と額面金額を超える資本も同様に増加し、資本の厚みと安定性を高めている。一方、その他包括損失累計額は負の値を続けており、全面的には資本の蓄積とともにある損失の累積を示しているものの、増減は比較的小さく、全体としては安定した資本基盤を維持している。
- 財務のリスクと安全性
- 総負債に対する負債比率は60%台から65%台の範囲で推移し、全体として高い財務レバレッジを示している。特に、繰延所得税やその他税金、未払負債の比率が増加しており、短期負債や未払負債の比率も高く、流動性リスクの可能性が存在する。一方、負債の中で多くを占める長期負債は減少しており、負債構成の改善とともにリスク管理が進んでいる可能性も考えられる。償還不能な非支配持分と非支配持分も一定の比率を維持しており、株主資本の増加とともに、支配構造や資本関係の安定性も考慮する必要がある。
- 総合的な財務健全性
- 負債比率の上昇とともに、株主資本比率も比較的堅調に推移していることから、財務基盤は堅固ながらも、短期負債や流動負債の比率や未払負債の増加は短期的な流動性やリスクを含む可能性がある。資本の増強と負債削減の両面により、長期的には財務の安定性を高めていると評価できる。全体としては、負債と資本のバランスを維持しつつ、財務リスクの制御に努めていると考えられる。