損益計算書の構造
Activision Blizzard Inc.、連結損益計算書の構成
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2022-12-31), 10-K (報告日: 2021-12-31), 10-K (報告日: 2020-12-31), 10-K (報告日: 2019-12-31), 10-K (報告日: 2018-12-31).
- 売上構成の変化
- 2018年から2022年にかけて、純収益に占める製品販売の割合は緩やかに減少し、2022年には21.81％に縮小している。一方で、ゲーム内収益およびサブスクリプション、その他の収益が増加し、2022年には78.19％まで占める割合が高まった。これは、同社の収益源がデジタルコンテンツやサービスにシフトしていることを示唆している。特に、サブスクリプションやゲーム内課金の比率が堅調に伸びていることから、長期的な収益安定性の向上につながる動きと考えられる。
- コスト構造の変化
- 製品コストやソフトウェアのロイヤリティ・償却費用は、割合として見て徐々に低下しており、特にロイヤリティと償却費は1.97％に留まっている。この傾向は、効率的な経営やデジタル配信のコスト低減が進行していることを示す。一方、ゲームの運営・配布コストの割合は2022年に17.59％に増加しており、運用コストの増加が見られるが、総合的に見ると収益に対するコスト構造は改善していると言える。
- 収益性の推移
- 粗利益率は2018年の66.44％から2021年に73.68％まで上昇した後、2022年には70.48％にやや縮小している。営業利益率も同様に、2018年の26.51％から2021年に37.02％まで向上したものの、2022年には22.18％へと低下している。この変動は、収益構造の変化やコスト増加の影響を反映していると考えられる。全体としては、収益性は改善傾向にあるが、2022年に若干の調整局面が見られる。
- 財務活動と純利益
- 利息支払や投資損益は比較的安定しているが、2022年には受取利息の増加やその他収益の増加が見られ、純利益や当期純利益率は2021年に比べ低下している。税引前利益は一貫して高い水準を保っているが、税金コストの増加に伴い2022年の純利益は20.1％に留まっている。これにより、利益の減少は一部はコストの増加や税負担の変動によるものと推測されるが、依然として高い収益性を維持している。
- 総括
- 全体として、同社はデジタル収益の比重を増やす戦略を継続しつつ、コスト効率化を進めてきたことが、収益性の改善に寄与している。2022年には一部のコスト増や市場環境の変動により利益水準がやや縮小したものの、長期的な収益構造は堅調に推移していると分析される。今後もデジタル事業の拡大とコスト管理の強化が、さらなる収益性向上の鍵となることが示唆されている。