貸借対照表の構造:負債と株主資本
四半期データ
レポートに基づく: 10-Q (報告日: 2025-06-30), 10-Q (報告日: 2025-03-31), 10-K (報告日: 2024-12-31), 10-Q (報告日: 2024-09-30), 10-Q (報告日: 2024-06-30), 10-Q (報告日: 2024-03-31), 10-K (報告日: 2023-12-31), 10-Q (報告日: 2023-09-30), 10-Q (報告日: 2023-06-30), 10-Q (報告日: 2023-03-31), 10-K (報告日: 2022-12-31), 10-Q (報告日: 2022-09-30), 10-Q (報告日: 2022-06-30), 10-Q (報告日: 2022-03-31), 10-K (報告日: 2021-12-31), 10-Q (報告日: 2021-09-30), 10-Q (報告日: 2021-06-30), 10-Q (報告日: 2021-03-31), 10-K (報告日: 2020-12-31), 10-Q (報告日: 2020-09-30), 10-Q (報告日: 2020-06-30), 10-Q (報告日: 2020-03-31).
- 負債構造の変化
- 短期借入金の割合は、2020年3月期から徐々に減少傾向にあり、2023年以降はおおむね1.0〜1.7%の範囲で推移している。一方、長期借入金の比率は、2020年に約25%あったのが、その後の数年間にわたり縮小し、2021年以降は約12〜15%の範囲で安定している。この傾向は、短期借入金の削減および長期借入金の圧縮による資本構造の変化を示唆している。 また、流動負債比率は2020年平均では約26.8%から2023年にかけて約30%前後へと上昇し、短期的な流動性管理が重要となっている。
- 流動負債と固定負債のバランス
- 流動負債比率は、2020年平均で約26〜30%にあり、全体負債に対して相応の流動性を維持している。一方、非流動負債は、2020年に約59%から2023年には約50〜51%の範囲で推移し、長期負債が主な負債形態となっている。これにより、長期的な資金調達志向が示されており、短期的な支払リスクに対する備えも一定の水準にあると解釈できる。
- 負債構成と資本比率
- 総負債の資本に占める割合は、2020年3月期時点で約86%であり、その後も80%台後半から維持されている。特に、長期借入金と保険債務・年金給付の比率が全体の約50%に近づき、資本の長期化と安定化に寄与している。株主資本比率は、2020年から2023年にかけて約13〜20%の間を推移し、総負債に対する比率は高水準を維持している。
- 自己株式と純資産の動向
- 自己株式の比率は負債・資本の合計に対して負の割合で表現されており、2020年時には約-31.5%程度であったが、2023年にかけて-49%から-66%の範囲に増加し、自己株式の買い戻しや資本圧縮の動きが見受けられる。これに伴い、剰余金(留保利益)は同期間に大きく増加し、2024年以降は約62〜66%で推移している。これらは自己株式買戻しと利益の蓄積を背景に、株主価値の向上を図っている可能性を示唆している。
- 収益性および利益指標の傾向
- その他包括利益の累計額は、2020年には負の値(約-4%台)で推移していたが、2021年以降正の値(最大約0.8%)に改善し、そこから再びマイナスに転じている。これは、期間中の投資活動や為替変動等の非経常的要因の影響を受けていると考えられる。総じて、収益性の向上と安定化を目指す施策の効果や外部環境の変動が反映されていると解釈できる。
- 株主構成と資本の質
- 普通株式の比率は約0.27〜0.28%の狭い範囲で推移し、株主資本の一定の割合を占めている。その他の包括利益や自己株式の増減により、純資産の構成は変動しつつも、負債比率の高さからみて、資本構造は安定化を図っているものの、利益蓄積と株主価値の最大化に向けた慎重な資本運用を進めていると考えられる。
- 今後の展望と課題
- 総じて、負債比率の高い構造を維持しつつも、長期資金の割合が安定化していることから、資金調達計画は堅実に行われているとみられる。一方、短期借入金の比率低減と長期負債の維持により、資金流動性や支払リスクの管理が引き続き課題となる。また、自己株式買戻しの進展により株主価値の向上とともに財務体質の強化を進めているが、今後も収益性の改善や外部環境の変動に対する適切な対応が求められる。