貸借対照表の構造:資産
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2022-12-31), 10-K (報告日: 2021-12-31), 10-K (報告日: 2020-12-31), 10-K (報告日: 2019-12-31), 10-K (報告日: 2018-12-31).
- 現金および現金同等物
- 2018年から2021年にかけて総資産に占める割合は概ね安定して推移しているが、2022年には約9.7%へと増加しており、流動性の向上を示唆している。これは、短期的な資金の充実やリスクヘッジの効率化に寄与する可能性がある。
- 売掛金勘定(貸倒引当金控除控除)
- この項目の割合は2018年から2021年まで比較的安定して推移した後、2022年に約7.71%へと大きく上昇している。売掛金の増加や貸倒引当金の見積もり調整が反映された可能性があり、資金回収リスクの変動を示唆している。
- 在庫
- 総資産に占める割合は2018年の9.24%から2022年には13.43%へと増加している。特に2022年にかけての増加は、在庫水準の拡大や販売戦略の変更、供給チェーンの変動を反映している可能性がある。これにより、在庫保有コストの増加や資金拘束のリスクも考えられる。
- 流動資産
- 2022年には33.56%と大きく増加しており、全体の流動性向上を示す一方で、過剰な流動資産の蓄積も懸念される。過去数年間は減少傾向だったが、2022年の増加は資金の一時的な余剰または戦略的な流動資産積み増しを反映している可能性がある。
- ネット有形固定資産
- 総資産に占める割合は2019年に49.79%、2020年に51.24%と高水準を維持し、その後2022年には45.05%に減少している。これは資産の減価償却や戦略的な資産売却、もしくは新規投資の不足に起因していると考えられる。
- 固定資産総額の推移
- 全体に占める割合は2018年の73.64%から2021年には81.7%と増加傾向を示す一方、2022年には66.44%に減少している。2022年の割合減少は、流動資産の増加と共に固定資産の相対的な比率が縮小したことを示す。
- 無形資産(好意、その他の無形資産)
- 好意の割合は2018年に20.67%、2022年には10.47%へと減少している。これは、過去の買収や合併による無形資産の減価償却や、帳簿価値の見直しが影響している可能性がある。一方、その他の無形資産は全体に一定の割合を維持しつつも、長期的に減少傾向である。
- 投資、その他資産
- 投資の比率は2018年の6.97%から2021年の8.18%に増加し、その後やや減少しているが一定の水準を保っている。その他資産も2021年に2.3%を記録した後、2022年には1.62%と減少している。これらの変動は、投資戦略の見直しや資産の売却・取得による影響と考えられる。
- 繰延法人税および税制上の優遇措置資産
- 繰延法人税は全期間を通じて一定の割合で推移しており、2022年には0.3%まで増加している。未認識の税制上の優遇措置に係る資産も安定的に存在し、税効果の変動を反映していると考えられる。
- その他の資産およびリース権資産
- その他の資産は2022年に1.62%に減少している。一方、オペレーティングリース使用権資産は2020年以降、変動はあるものの全体として相対的に小規模な割合にとどまっているが、2022年には約0.83%と減少傾向にある。リース資産の減少はリース契約の見直しやリース会計基準の適用の影響と考えられる。
- 総合的な傾向
- 総合的に見ると、流動資産の比率は2022年に増加し、流動性の向上を示している一方、固定資産の比率は相対的に減少しており、資産構成の内訳に変化がみられる。特に在庫や流動資産の増加は、短期的な事業運営の活発化や資金繰りの変動を反映している可能性がある。また、無形資産の減少や固定資産比率の低下は、資産の見直しや資産売却の結果と推測される。こうした動きは、財務戦略の変化や経営環境の変動を反映していると考えられる。