包括利益計算書
包括利益とは、非所有者の源泉からの取引やその他のイベントや状況による、期間中の企業の資本(純資産)の変化です。これには、所有者による投資および所有者への分配に起因するものを除き、期間中の資本のすべての変動が含まれます。
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2020-09-30), 10-K (報告日: 2019-09-30), 10-K (報告日: 2018-09-30), 10-K (報告日: 2017-09-30), 10-K (報告日: 2016-09-30), 10-K (報告日: 2015-09-30).
- 総合的な収益傾向
- 過去の6年間にわたり、Air Products & Chemicals Inc.の総合的な包括利益は顕著な増加傾向を示している。特に2017年には、前年比で大きく増加しており、その後も増加の勢いが続いていることから、財務状況が改善していることが伺える。2015年から2017年にかけての伸びは顕著であり、その後の2018年から2020年においても安定した成長を維持している。特に、「Air Productsに帰属する包括利益」も同様に増加傾向であり、株主に帰属する獲得利益が着実に積み重なっていることを示している。
- 純利益の推移
- 主な純利益指標である「手取り」は、2016年および2020年に低迷したが、その他の期間においては安定的に増加している。ただし、2016年の手取りの大幅な減少は特殊な要因が関与していた可能性があり、2015年と比較しても2016年の値は著しく低い。2017年には回復し、その後も増加基調を示していることから、同社の収益構造は回復局面にあると考えられる。
- 翻訳調整額(税引き後)の変動
- この項目においては、2015年に大きくマイナスとなった後、2016年には小幅なプラスへと改善している。2017年以降は再びマイナスに振れる局面もあるが、2020年には再びプラスに転じている。これらの変動は為替レートの変動や海外事業の調整による影響を反映しており、為替の変動を除いた実質的な収益の改善とは一部乖離が見られる。
- デリバティブの純利益と年金・退職給付費用の動向
- デリバティブに関連する純利益は、2015年から2018年までの期間に一時的に増減を繰り返しており、全体的には安定しながらも変動がある。一方、年金および退職後給付に関しては、2015年から2017年まではマイナス圏に位置していたが、2017年以降は黒字に回復し、一定の安定を見せている。ただし、2019年には再びマイナスに転じるなど、変動は相対的に大きい。
- その他の包括利益と調整項目
- その他の包括利益は、2015年および2019年に大きくマイナスに振れたものの、2017年には大幅なプラスとなるなど変動が激しい。この傾向は、為替換算調整や再分類調整などの調整項目とも連動している可能性がある。また、包括利益の全体的な増加傾向は、企業の財務状況の改善や為替変動の影響を反映していると推察される。
- まとめ
- 総合的に見ると、2015年から2020年にかけて、Air Products & Chemicals Inc.は総合利益において持続的な成長を遂げており、株主に帰属する利益も増加している。特に2017年以降は、為替調整やディリバティブ取引、年金関連費用の変動を含めて、収益と利益の安定化が進んでいることが示唆される。一方、短期的な変動も存在しており、外部要因や調整項目の影響を受けやすい構造となっている。今後は、これらの変動要因を注視しつつ、持続的な成長を維持していくことが課題となるだろう。