Elevance Health Inc. (NYSE:ELV)

データの前提と期間

対象期間は2005/12/31から2024/12/31までの年間データ。単位は百万米ドル。項目は「営業収益」と「株主当期純利益」の2つ。欠損データは空欄として扱われる。

売上高の傾向

売上高は長期的な成長を示す。2005年の44513から2024年の175204へと約3.9倍まで拡大し、年平均成長率はおおむね7.5%程度と推定される。2009-2010年は小幅な減少が見られるが、それ以外の期間は概ね増加。2013年以降の成長ペースが加速し、特に2019年以降は大幅な伸びが顕著で、2020年には前年度比約17%の大幅増を記録。2021-2024年も高水準を維持し、2024年は初期水準と比較して大きく上振れした時期と比べ穏やかな伸びとなっている。

株主当期純利益の傾向

年次変動は大きいが長期的には増加の方向性を示す。2005年の2464から2024年の5980へ約2.4倍の水準へ成長。2008年の急落後、2009年に大幅に回復する一方、2010-2012年は低位で推移。2017年以降再び上昇し、2019年にピークをつけた後、2020年はやや減少するも2021年には約6104へ上昇、以降は約6000前後で推移する。

利益率の推移と洞察

純利益率は全体を通じて3%台〜6%台の範囲で推移し、年次での変動が大きい。2005-2007は約5.5%前後、2008年には約4.0%へ低下、2009年には約7.8%へ跳ね上がる局面がある。2013-2016は約2.9%〜3.5%の低位で推移する期間が長く、2017-2019には約4.1%〜4.7%へ回復。2020年は約3.8%、2021年には約4.5%へ回復するも、2022-2024は約3.4%〜3.9%のレンジで安定。全体として、売上の伸長にもかかわらず純利益の成長は比較的控えめで、利益率は年次での変動が大きい。

総括的な洞察

長期的には売上高の持続的成長が確認され、特に2019年以降は成長ペースが強化されている。一方、純利益はボラティリティが大きく、利益率は低位での推移が長く続く期間が多い。売上規模の拡大が利益の成長に対して必ずしも同じペースで進んでいないことから、費用構造や税引後利益へ影響を及ぼす要因の動向を別途分析することが重要となる。今後は売上成長の質（構成要因の変化）と費用効率、税務影響の動向を併せて評価することが望ましい。

分析の要約

期間を通じて、流動資産と総資産の両方とも長期的な成長を示す。流動資産は初期に大きく変動した後、2009年以降は安定成長が顕著となり、2023年には過去の水準を上回る水準に達したが、2024年にはやや低下した。総資産は2008年の低下を挟みつつ2012年以降一貫して増加し、2017年以降の伸びが特に強く、2024年末時点で2005年末比約2.3倍となっている。

流動資産の動向

2005年の約25,945百万米ドルから2006年には約11,807百万米ドルへ大幅に減少。その後2007-2008年も低水準を維持した後、2009年に再び急増して約28,071百万米ドルとなり、その後は2010年代を通じて緩やかに増加。2014年には約32,229百万米ドル、2019-2023年には60,000百万米ドル台前半へ上昇する場面が見られ、2020年以降はおおむね45,751〜60,029百万米ドルの範囲で推移。2024年には約58,942百万米ドルと2023年を下回る水準だが、2005年と比較すると大幅に高い水準にある。

総資産の動向

2005年の約51,405百万米ドルから2008年には約48,403百万米ドルへ減少。しかし2009年以降は回復を続け、2012年以降は年々増加のペースを強め、2017年には約70,540百万米ドル、2018年約71,571百万米ドル、2020年以降は加速して2024年には約116,889百万米ドルへ達している。総資産の成長は2017-2024年の期間に特に顕著であり、全体として約2.3倍へ拡大している。

資産構成の洞察

流動資産比率の推移はおおむね50%前後で推移しており、流動資産の水準は総資産の成長に追随して拡大している。2009年前後の回復期には流動資産の比率が相対的に高まる局面があり、短期の資金繰り安定性を支えた可能性がある。全体として、資産の拡大は長期的な事業規模の拡大と財務基盤の強化を反映していると解される。

流動負債の推移

2005/12/31 の 14,857 百万米ドルから、2022/12/31 の 40,581 百万米ドルへと増加した。2013/12/31 以降は成長ペースが加速し、2014年以降は力強い上昇が続いた。2018年以降は特に顕著で、2019年 34,885、2020年 39,696、2021年 41,791 と大きく上昇した後、2022年には 40,581 に微減した。2023年および2024年のデータは欠損のため、最新動向の確認は不能である。

総負債の推移（全体）

2005年の総負債は 26,412 百万米ドルで開始し、2007年には 29,070 へ増加する一方、2008年には 26,972、2009年 27,262、2010年 26,354 と短期的には横ばい〜やや低下する局面を経た。2012年に 35,153、2013年 34,809、2014年 37,814、2015年 38,674、2016年 39,983 と上昇基調を取り戻し、2017年 44,037、2018年 43,030、2019年 45,725、2020年 53,416、2021年 61,332、2022年 66,378、2023年 69,523、2024年 75,463 と、2016年以降は着実に増加している。

長期負債の推移

2005年の長期負債は 6,806 百万米ドルで開始し、2012年には 14,978 まで増加。以降は 2013年 14,492、2014年 15,152、2015年 15,865、2016年 15,727 と緩やかな増減を繰り返す。2017年には 19,932 へ急増し、その後は 2018年 19,211、2019年 20,085、2020年 20,035、2021年 23,031、2022年 24,114、2023年 25,120、2024年 31,232 と、2023年以降にかけて再度大幅な増加が見られる。長期借入金の水準が顕著に上昇している局面となっている。

株主資本の推移

2005年の株主資本は 24,993 百万米ドルで開始し、2007年には 22,990、2008年には 21,432 と低下。以降は回復局面を経て、2010年代後半から安定的に増加している。2012年 23,803、2013年 24,765、2014年 24,251、2015年 23,044 と揮発はあるものの、2016年 25,100、2017年 26,503、2018年 28,541、2019年 31,728、2020年 33,199、2021年 36,060、2022年 36,307、2023年 39,306、2024年 41,315 と着実に拡大している。

負債と資本構成の総括的な所見

総負債と流動負債は年次を追って上昇しており、特に2016年以降の伸びが顕著である。長期負債は2017年以降に大きく増加し、2024年には 31,232 百万米ドルへ拡大している。株主資本は初期の減少を挟みつつ、2010年代後半から堅調に成長しており、最終的には 41,315 百万米ドルに達している。結果として、総負債に対する株主資本の比率は低下時代を経て、2020年代には再び高まっている水準へと移行している。総じて、財務レバレッジの上昇傾向が続いており、特に長期負債の増加が目立つ。現時点では、流動性を直接示す指標（流動資産対流動負債比率など）のデータが欠損しているため、短期的な流動性リスクの評価には追加情報が必要である。

主要な財務示唆

資本構成は長期借入金の拡大とともにリスクが高まる構造へ移行している。株主資本の成長は持続しているものの、総負債の増加ペースは株主資本の増加を上回っており、レバレッジの上昇が続いている。特に2020年代前半には負債の増加が加速しており、金利環境の変化やキャッシュフローの安定性を前提とした財務計画の再評価が重要となる可能性がある。短期負債の水準が高まる局面では、流動資産の状況と負債条件の動向を継続的に監視する必要がある。データ欠損期間（特に2023・2024年の流動負債）は、全体傾向の解釈に不確実性をもたらす点に留意する。

データの要点

3項目の年間キャッシュフローを期間別に比較した分析。単位は百万米ドル。営業活動によるネットキャッシュは初期は高水準で推移し、2019年に6061、2020年に10688と急増した後、2021年以降は再び低下傾向に転じつつも2024年時点でも2019年を上回る水準を維持している。投資活動によるネットキャッシュは長期的にマイナスが続くケースが多く、特に2017年以降は大規模なキャッシュアウトが顕著。財務活動による(net cash used)は年によって正負が入れ替わり、正の年は資金調達による流入を示す一方、負の年は主に資金の返済・株式買い戻し等の資金流出を示す。

営業活動によるネットキャッシュの傾向

全体としては安定感を伴う高水準の推移が見られ、2005年の3257から始まり、2007年には4345と高水準を維持。2008年には2535へ低下した後、2010年の1417を経て再び回復。2015年以降は再度拡大傾向となり、2019年には6061、2020年には10688でピークを記録した。その後2021年以降は減少傾向に転じ、2024年には5808へ下落しているが、2019年以前の水準を大きく上回る水準を維持している。

投資活動によるネットキャッシュの傾向

長期的にはマイナスが主導的な動向。2005年-4420、2006年-457、2007年-769と比較的小規模なマイナスを経た後、2009年には+3003のキャッシュインフローを記録する場面もあるが、以降は大規模なキャッシュアウトが継続。特に2012年-4552、2017年-5082、2020年-7324、2021年-9638と、投資活動での支出が顕著に拡大している年が続く。2022年-4560、2023年-5572、2024年-5167と、2020年代半ばにも高水準の投資支出が継続している。

財務活動による(net cash used)の傾向

年によって正負が入れ替わり、正の年は資金調達による流入を示す。2005年+2447、2012年+2089、2017年+427、2021年+423、2024年+1193。これらの年以外は大半が財務活動によるキャッシュアウトフローであり、負の値が続く局面が多い。主な要因としては、返済、配当支払い、株式買い戻し、借入の新規発行などが挙げられ、年ごとの資本構成の調整が反映されている。

全体像と洞察

3項目の年度別動向から、運用キャッシュフローが大幅に堅調な年には投資活動によるキャッシュアウトが相対的に相殺され、純キャッシュフローは年によって大きく変動することが分かる。特に2019-2020年は運用キャッシュフローの急増が投資・財務の影響を補い、純キャッシュフローをプラス転換させている期間となっている。一方で2017年以降の投資支出の拡大と、それを財務活動で賄う必要性が生じた年にはネットキャッシュの不足が顕在化し、年度間で大きく変動する傾向が確認できる。長期的には、営業キャッシュフローの安定性が投資の規模と財務調整の頻度に強く影響しており、資本投資の規模・時期と資金調達の動向が密接に関連している。

以下は、提示されたCSVデータに基づく年次財務指標の分析結果である。分析は債務・現金流の側面を含まず、株式指標の動向に焦点を当てている。評価は長期トレンドと年次の変動性を分解して、内部レポート用に要約したものである。

基本EPS（1株当たり基本利益、USD）

期間は2005/12/31から2024/12/31まで。初期水準は約4.03USDから始まり、2007年までにやや上昇、2008年には4.79へ微減後、2009年には9.96へ急増して高いボラタイルを示す。その後、2010年に7.03、2011年に7.53と若干の調整を経て、2012年8.26、2013年8.34、2014年9.31、2015年9.73、2016年9.39と緩やかに回復。2017年には14.7へ大幅に跳ね上がり、2018年14.53、2019年18.81、2020年18.23とやや揺れつつも水準を高く維持。2021年以降は25.04、2022年25.10、2023年25.38、2024年25.81と、長期的な上昇トレンドが顕著に確認できる。

希薄化後EPS（EPS、調整後、USD）

基本EPSと同様の期間・構成。初期值は3.94USDで、2008年には4.76へ微減後、2009年には9.88へ急増するなど、基本EPSと類似の動きを示す。2010年6.94、2011年7.25、2012年8.18、2013年8.20、2014年8.99、2015年9.38、2016年9.21と横ばい～緩やかな上昇を経て、2017年には14.35へ大幅上昇、2018年14.19、2019年18.47、2020年17.98と再び小幅の変動。2021年24.73、2022年24.81、2023年25.22、2024年25.68と高水準を維持しており、基本EPSと同様の長期成長傾向が読み取れる。

1株当たり配当金（USD）

データが確認できるのは2011年以降であり、それ以降は年次で安定的かつ着実に増加している。2011年には約1.00USD前後、2012年1.15、2013年1.50、2014年1.75、2015年2.50、2016年2.60、2017年2.70、2018年3.00、2019年3.20、2020年3.80、2021年4.52、2022年5.12、2023年5.92、2024年6.52へと年次で着実に引き上げられている。初期の欠損データは配当履歴の開始時期を示す要因として留意点となるが、利用可能な範囲においては配当政策の強化と持続的なキャッシュフローの安定性が示唆される。

総括として、基本EPSと希薄化後EPSは長期にわたり着実な成長を示し、特に2017年以降の急速な上昇と2021年以降の高水準維持が特徴である。配当金は2011年以降に明確な増加トレンドを形成し、EPSの強化と相互に支え合う形で株主還元の安定性が高まっている。データには初期の配当データ欠測が存在するが、現時点の範囲では配当方針の強化とキャッシュフローの安定性が読み取れる。