Carrier Global Corp. (NYSE:CARR)

売り上げ高の推移

2020年から2021年にかけて売り上げは約3,157百万米ドル増加し、成長傾向が持続していた。2022年はわずかに減少し、約192百万米ドルの落ち込みを示すが、全体的には高い売上水準を維持している。

営業利益の推移

2020年の営業利益は3,083百万米ドルであったが、2021年には約438百万米ドル減少し2,645百万米ドルとなった。その後、2022年には約1,870百万米ドル増加して4,515百万米ドルと、前年を大きく上回る結果となった。これは、コスト管理の改善や収益性向上が反映されている可能性がある。

当期純利益の推移

普通株主に帰属する当期純利益は、2020年の1,982百万米ドルから2021年には約318百万米ドル減少し1,664百万米ドルとなったが、2022年には約1,870百万米ドル増加し3,534百万米ドルとなっている。2022年の純利益の増加は、営業利益の大幅な改善に加え、他の収益項目や税金調整が寄与している可能性がある。これにより、当年度の純利益水準は過去のピークを上回った。

流動資産の推移

2020年から2021年にかけて、流動資産は大幅に増加し、年度末には11,407百万米ドルに達した。その後、2022年には減少し、9,879百万米ドルとなっている。

総資産の推移

総資産は2020年から2021年にかけて堅調に増加し、26,172百万米ドルに到達した。その後、2022年にはわずかに減少し、26,086百万米ドルとなった。これにより、総資産は全体として比較的安定していると見られる。

資産構成の変化

流動資産の一時的な増加とその後の減少は、流動性の調整や短期資産の変動を示唆している可能性がある。総資産のほぼ横ばいの動きからは、資産全体の規模は安定しているが、流動資産と固定資産とのバランスの変化に注目が必要である。

全般的な傾向

2021年は総資産および流動資産ともに増加したものの、2022年に入り流動資産が減少し、資産の流動性調整が行われた可能性がある。一方で、総資産の規模はあまり変動しておらず、資産の規模維持と資産構成の見直しが進められていると推測される。

流動負債は、2020年から2021年にかけて増加し、2022年にはやや減少したものの、2020年の水準を上回る傾向を示している。具体的には、2020年が5,110百万米ドルであり、2021年に6,627百万米ドルに増加した後、2022年には6,032百万米ドルに減少している。

総負債は、2020年から2021年にかけてわずかに増加した後、2022年には若干の減少が見られるものの、概ね横ばいの推移を示している。具体的には、2020年が18,515百万米ドル、2021年に19,078百万米ドルに増加し、2022年には18,010百万米ドルに減少している。この動きは負債全体の安定性を示唆している可能性がある。

長期借入金は、2020年の10,227百万米ドルから2021年に9,696百万米ドルへと減少し、2022年には8,842百万米ドルとさらに低下している。これにより、長期借入金の返済や借入条件の変更などにより、負債の圧縮を進めてきた可能性が示唆される。

普通株主に帰属する持分は、2020年の6,252百万米ドルから2021年に6,767百万米ドルへと増加し、2022年には7,758百万米ドルにさらに増加している。この増加は、純利益の積み増しや自己資本の積極的な拡大方針を反映していると考えられる。

営業活動によるネットキャッシュフロー

2020年度には約16億9千万ドルであり、その後2021年度に約22億3千万ドルに増加したが、2022年度には約17億4千万ドルに減少した。この数値の変動は、営業活動によるキャッシュフローは一定の範囲内で推移しているが、2021年にピークをつけた後、若干の減少を示していることを示している。

投資活動によるネットキャッシュフロー

2020年度には約11億6千万ドルの流出であったが、2021年度にはマイナス6億9千2百万ドルに転じ、投資活動によるキャッシュアウトが大きく減少した。2022年度には約17億4千万ドルの流入となっており、再び投資活動が積極的に行われたことを示している。これらの変動は、投資戦略の見直しや投資環境の変化を反映している可能性がある。

財務活動に使用したネットキャッシュフロー

2020年度には約6億8千1百万ドルの流出だったが、その後2021年度に約15億6千万ドルに拡大し、更に2022年度には約29億3千万ドルの流出となった。継続的な資金流出は、借入金の返済や配当の支払い、株主還元策などの財務活動に由来するものであり、財務戦略の一環として大規模な資金調達や返済を行っていることが読み取れる。

2020年度

2020年度の1株当たり基本利益は2.29米ドルであり、希薄化後1株当たり利益は2.25米ドルであった。これらの指標は一定の収益性を示していたが、配当金は0.28米ドルと比較的低い水準であった。これにより、2020年度は純利益に対して配当の割合が低く、内部留保や投資に資金を回す余裕を持っていた可能性が示唆される。

2021年度

2021年度の1株当たり基本利益は1.92米ドルに減少した一方、希薄化後1株当たり利益は1.87米ドルとほぼ同じ水準を維持していた。この期間の配当金は0.51米ドルに増加したことから、収益性の低下にもかかわらず、配当支払いを積極的に増やそうとした動きがうかがえる。ただし、収益性の低下は企業の収益力の一時的な調整を示している可能性もある。

2022年度

2022年度には、1株当たり基本利益が4.19米ドルと大きく回復し、前年の水準を大きく上回った。また、希薄化後1株当たり利益も4.1米ドルとほぼ同じ水準に回復した。これらの指標の回復は、企業の収益性が顕著に改善したことを示している。さらに、配当金は0.64米ドルと過去最高を記録し、収益の増加に応じて配当支払いも増加したことが確認できる。全体として、2022年度は企業の収益性と株主還元策の両面で堅調な展開を示している。