損益計算書の構造
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2023-09-30), 10-K (報告日: 2022-09-30), 10-K (報告日: 2021-09-30), 10-K (報告日: 2020-09-30), 10-K (報告日: 2019-09-30), 10-K (報告日: 2018-09-30).
- 売上構成の変動傾向について
- 売上高に占める製品とシステムの割合は、2018年から2023年まで全体的に安定しており、特に2020年以降も大きな変動は見られない。一方、サービスの割合は、2018年に比べて2019年以降に増加し、その後も高水準を維持しているが、2023年にはやや減少している。この傾向から、同社はサービス事業の拡大を図りつつも、製品とシステムの売上比率を重視していると考えられる。
- 売上高と売上原価の比率の推移について
- 売上高に対する売上原価の割合は、2018年から2023年まで概ね減少傾向にあり、特に2020年には66.79%まで低下している。これに伴い、粗利益率は改善し、2021年から2023年にかけて一定水準(約33%)を維持している。これらの推移は、同社がコスト管理や効率化を進め、収益性の向上を達成していることを示す。
- 営業利益と費用構造の動向について
- 営業利益率は2018年の9.89%から2020年に一時4.32%に低下した後、2021年に10.81%に回復し、その後は6%台で推移している。販売費及び一般管理費の売上高比は2019年に大きく上昇したが、その後はやや安定している。事業再編費用や減損費用も増加しているが、全体として営業利益のボラティリティは見られるものの、収益性の維持に努めていることが示唆される。
- 財務費用及び為替・利息関連の動向について
- 支払利息や純融資費用は2018年から2023年までほぼ横ばいで推移し、平均的には抑制されている。支払利息は売上高に対して一定の割合であり、為替の純結果とともに財務コストの安定性がうかがえる。特に、為替差損益は2019年以降も一定の範囲内で推移しており、外貨リスク管理に配慮している可能性がある。
- 純利益と利益寄与の動向について
- 継続事業の税引前利益は、2018年の9.24%から2020年には4.05%まで低下したが、2021年の11.04%をピークに、その後はやや減少傾向が見られる。特に2023年には6.38%とやや低下している。非継続事業からの税引後利益の割合は変動が大きく、2021年に一時的に増加しているものの、全体的な利益寄与は限定的な範囲にとどまっている。ジョンソンコントロールズに帰属する純利益は、概ね一定の割合で推移しており、2023年には6.9%に達している。総じて、利益率は一定水準に安定しているが、2020年の低調からの回復の兆しは見られるが、長期的な成長には一定の課題も示唆される。
- その他のポイント
- 株式利益や税負担の変動は比較的小幅であり、財務構造の安定性を示唆している。ただし、非支配持分に帰属する当期純利益はマイナス圏で推移し、支配株主に帰属する利益と比較してやや低調な状況にある。これにより、少数株主持分の収益への影響やグループ内の利益分配に留意が必要となる。