貸借対照表の構造:資産
Uber Technologies Inc.、連結貸借対照表の構成:資産
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2024-12-31), 10-K (報告日: 2023-12-31), 10-K (報告日: 2022-12-31), 10-K (報告日: 2021-12-31), 10-K (報告日: 2020-12-31).
- 流動資産の割合の変動と構成の変化
- 2020年度から2024年度にかけて、流動資産の総資産に対する割合はやや減少傾向にある。特に2021年に比べて2022年には増加したものの、その後は2024年度にかけて再び減少している。この期間中、現金および現金同等物の割合は全体としてやや低下傾向にあり、2021年度に一時的に減少した後、2024年度には11.5％付近で安定している。一方、売掛金や前払費用といった流動資産の構成比も変動しており、売掛金の割合は2022年度にピークを迎え、その後やや縮小している。これらの動きは、資金管理や債権の回収状況の変化を示唆している可能性がある。
また、制限付き現金および投資は期間中に増加しており、特に2024年度には制限付き投資が資産構成の重要な割合を占めていることから、企業の資金の拘束や特定用途への資金移動の傾向がみられる。総じて、流動性の高い資産の割合は年度ごとに若干変動しつつも、全体的には安定性の確保とリスク管理の一環としておこなわれている可能性がある。 - 固定資産及び無形資産の変動
- 有形固定資産（ネット）の比率は年度を通じて比較的低水準に留まり、2024年度には3.81％まで縮小している。これは資産の資産化効率や資産更新の抑制を反映している可能性がある。一方、無形固定資産は全期間を通じて変動しつつも、2024年度には2.2％と比較的低い水準に落ち着いている。
特に注目されるのは、好意の割合が2020年度から2022年度にかけて増加し、その後2024年度には大幅に減少している点であり、これは企業の買収や資産の評価変動に伴う評価額の変動を示唆している。
また、オペレーティングリース使用権資産と繰延税金資産の割合は年度ごとに変動し、繰延税金資産においては2024年度に大きな増加を示しており、税務上の資産計上や税制優遇の効果が反映されている可能性がある。
総じて、固定資産と無形資産は総資産に対して比較的小さな割合を占めているが、評価の変動や資産構造の変化は企業の投資や資産運用方針の調整を示していると推測される。 - 資産構成の主要な経済的・戦略的示唆
- 資産の総合的な構成を見ると、現金や流動資産の比率は安定性を確保しつつも、やや縮小傾向にあることから、流動性管理の見直しや投資に対する意欲の変化が示唆される。一方、投資や好意などの資産の比率は変動を続けており、特に投資資産の割合が高く推移し、資産運用の重点が投資活動に置かれていることが読み取れる。これらの点は、企業が成長戦略の一環として積極的に投資を行いながらも、流動性の確保を維持しようとするバランスをとっていることを示している。