貸借対照表の構造:負債と株主資本
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2021-06-30), 10-K (報告日: 2020-06-30), 10-K (報告日: 2019-06-30), 10-K (報告日: 2018-06-30), 10-K (報告日: 2017-06-30), 10-K (報告日: 2016-06-30).
- 負債の構成と変動傾向
- 短期負債の割合は全体として高い水準を維持しており、流動負債の占める割合も70%を超えることが多く、短期的な資金負担が継続的に存在していることを示している。一方、買掛金の割合は期間を通じて比較的一定の範囲にあり、未払費用やその他の流動負債も増加傾向を示しているが、2021年にやや減少傾向がみられる。長期負債の割合は2016年からの間で変動しつつ、2021年には6.12%と上昇しており、長期的な資金調達の比率が増加している可能性がある。特に、長期借入金の比率は2020年以降顕著に増加し、資本構成の変化を示唆している。未払法人税やその他の非流動負債も一定の割合を占めており、負債全体に占める比率は全体的に安定しているといえる。
- 株主資本の動向と構成
- 株主資本の割合は2016年から2019年まで安定した水準を維持していたが、2020年以降特に剰余金の割合が著しく増加し、2020年に47.07%に達した後、2021年にはやや縮小して39.88%となっている。これは、当期の剰余金の増加により純資産の増加が反映された結果と考えられる。資本金はほぼ一定であったものの、額面金額を超える資本の比率は2016年から増加傾向にあり、資本の充実を示唆している。株主資本全体の増減は比較的緩やかであり、資本の質的改善とともに実質的な株主資本の増強が進行している可能性がある。
また、その他の包括利益累計額は2018年に一時的なマイナスを示したものの、その後黒字に転じており、純資産の変動に寄与していると考えられる。 - 総負債比率と財務の健全性
- 総負債の比率は全期間を通じて約89%から90%以上の範囲で推移しており、資産に対する負債割合は高水準にあることが示されている。ただし、2021年には総負債に対する負債の割合が88.37%にやや低下している点も注目される。負債の中では短期負債の比率が高い一方で、長期負債の割合が増加していることから、財務レバレッジの向上と長期資本の充実が進んでいる可能性がある。
負債構成において、コストや在庫に関わる負債の負の割合は一定しているが、これは、企業側の在庫管理に関するコスト負担を反映しているとも解釈できる。総じて見れば、短期負債の高い比率とともに、負債の流動性管理が重要となる財務戦略を示しているといえる。 - その他の重要指標
- 配当金の割合は2016年から増加傾向であり、2020年には0.99%と最高値に達した後、2021年には0.80%に減少している。これは配当政策の見直しや利益分配の調整を反映している可能性がある。繰延収益や法人税、その他負債の比率も比較的安定しており、財務の一貫性を持って推移している。特に、繰延法人税比率は2019年のピークに達した後、2021年にはやや低下し、税務負担の変動を示唆している。
在庫コストの負の値は継続的に示されており、財務上の負担や資産評価に影響を与えている可能性がある。総じて、企業の財務戦略は、短期負債依存の高い資金調達とともに、資本の質的改善を図ることで財務の安定性を追求している動きが見て取れる。