貸借対照表の構造:負債と株主資本
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Illinois Tool Works Inc.、連結貸借対照表の構成:負債と株主資本
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2021-12-31), 10-K (報告日: 2020-12-31), 10-K (報告日: 2019-12-31), 10-K (報告日: 2018-12-31), 10-K (報告日: 2017-12-31).
- 負債比率の推移
- 総負債に占める短期借入金の割合は2018年に一時的に9.09％と高まった後、2019年には0.03％と極端に低下し、その後は年を追うごとに上昇傾向を示している。特に2021年には4.84％に回復している。一方、長期借入金の割合は比較的高水準で推移しており、2019年には51.46％と最大値を記録、その後は42.97％に減少している。これにより、短期負債と長期負債の比率において変動はあるものの、全体的に負債構造の調整を行っている可能性が示唆される。
- 流動負債と非流動負債の変動
- 流動負債の割合は2017年の18.19％から2021年には21.58％へ増加し、企業の直近の支払い義務への負担増加を反映していると考えられる。特に未払費用の比率は年々増加し、2021年には10.25％と過去最高となっている。一方、非流動負債は分散しながらも、全体として高い割合を維持しており、2019年に一時的に65.6％とピークに達した後はやや縮小し、55.86％に落ち着いている。これらの動きから、短期流動性と長期債務管理のバランス調整が進められていると解釈できる。
- 株主資本と財務構造の変化
- ITWに帰属する株主資本は2017年の27.32％から2021年には22.55％へ増加しているが、その成長は資本金や剰余金の増加に比べ、自己株式保有によりマイナスの影響を受けている。特に自己株式保有普通株式は継続的に増加の傾向にあり、株主持分の希薄化や自己株式取得の意向があった可能性が示唆される。剰余金の割合は着実に増加しており、資本の蓄積は継続的に進んでいる。
- その他の負債と退職給付関連負債
- 報酬や退職後給付にかかわる負債は概ね安定しており、特に年金および退職給付債務の割合は2017年の1.31％から2021年には1.46％へやや増加している。退職後給付債務も変動はあるが、主要な負債項目として継続して存在している。これらは長期的な福利厚生負債の管理の一環と考えられる。
- その他包括損失や自己株式の影響
- その他包括損失累計額は負の値を維持しており、2021年には-9.34％とやや縮小傾向にあるが、負債や資本全体への影響は継続している。また、売却用負債やリベート等一部項目の管理や調整による、負債構造の多様化が進められている可能性も考えられる。
- 総合的な財務状況
- 全体として、負債比率は高水準で推移しているものの、短期負債は一時的に増加した後、管理されながら安定を取り戻しつつある。自己株式の増加により株主資本の希薄化が進む一方、剰余金の増加により資本の蓄積は継続している。長期的には、企業は負債と資本のバランスを調整しつつ、財務基盤の維持を図っていると評価できる。