貸借対照表の構造:資産
レポートに基づく: 10-K (報告日: 2021-12-31), 10-K (報告日: 2020-12-31), 10-K (報告日: 2019-12-31), 10-K (報告日: 2018-12-31), 10-K (報告日: 2017-12-31).
総資産に占める流動資産の割合は、2017年から2021年にかけて一定範囲内で変動しており、特に2020年に大きく増加したことが顕著である。2020年には24.17%に達し、前年の12.78%から大きく上昇している。
現金および現金同等物の比率も2020年に11.54%と高まったが、その後はやや減少傾向にある。これは、流動性の確保を意識した資産運用の変化を示唆している可能性がある。
短期投資の割合は2017年と2020年に高く、特に2020年には8.04%に達している。一方、2018年にはデータ欠損のため詳細は不明だが、近年では短期資産の比重が重要な役割を果たしているとみることができる。
売掛金の割合は2017年から2019年にわたり4%台前半で推移していたが、2020年に1.94%に大きく減少した。しかし2021年には再び3.32%に増加しており、回収の状況や信用ポリシーの変化を示唆している。
在庫資産の比率も全体的に低水準だが、2020年に1.02%に最も低くなった後、2021年には1.52%に回復している。これは航空業界の運航再開や需要回復と関連している可能性がある。
有形固定資産の割合は2017年には49.84%、2018年には47.02%と高水準を維持していたが、2020年には36.85%に低下しており、その後2021年には39.68%にやや回復している。固定資産の比重減少は、資産構成の見直しや資産の償却の影響によると考えられる。
オペレーティングリース使用権資産は2020年から2021年にかけて増加傾向にあり、2021年には9.99%に達している。これにより、リース資産の重要性が増していることが示される。
好意の比率は2017年から徐々に低下し、2021年には13.46%となった。これは、資産評価や企業合併時の会計処理の変化を反映していると推測される。
識別可能な無形資産の比率は比較的一定で、8%前後で推移しているが、2019年以降ほぼ横ばいで推移している。これには主にブランドや特許などの無形資産が含まれていると考えられる。
空港建設のための現金制限資産は2018年以降に増加した後、2020年にピークの2.16%、その後やや減少している。近年の空港インフラ投資に関係している可能性がある。
株式投資の比率は2019年にやや高まり、その後は横ばいに推移している。これは投資戦略の見直しや市場状況の変化を反映していると考えられる。
繰延法人税資産は2017年から2020年にかけて大きく変動し、2020年に2.76%と高くなった後、2021年には1.79%に戻している。税効果の変動や税金繰延の見極めの結果と推測される。
その他の固定資産の比率は全期間を通じて低めに推移していたが、2020年に若干増加したことは、投資や資産の多様化を示す可能性がある。
全体として、2020年の資産構成において流動資産の比率が著しく増加し、固定資産の比率は低下しているが、その後緩やかに回復傾向にあることから、パンデミックの影響や事業再構築の一環として資産の流動化を進めてきたと考えられる。一方で、資産の多角化や長期投資の動きも併せ持っており、全体としてリスク管理と事業基盤の最適化を目的とした資産配分の変化が見て取れる。